18.06.12 商品のこと

素材に個性が宿る瞬間(とき)。想いをつなぐ樹脂工芸

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みなさまがコスチュームジュエリーを手に取るきっかけはなんですか?
 
見た目の美しさ、好みのお色、放たれる存在感や雰囲気。身に着けた時を想像し、わくわくする気持ち。
 
petite robe noireのコスチュームジュエリーは、いつまでも傍に置いておきたくなるような静謐(せいひつ)な美しさを追求するため、ひとつひとつのアイテムに様々なこだわりが込められています。そのこだわりのひとつが「日本製であること」「職人の手作りであること」
 
大量生産・大量消費や、効率的であることが求められてきたこの時代に、手作りだからこそ出来る丁寧な制作過程を大切にしています。
 
心を惹かれ手に取ったアイテムが、みなさまにとってより特別な存在となりますように…。今回はそんなものづくりに込められた背景をお届けいたします。

今回お伺いしたのは、樹脂工芸の工場さん。 petite robe noire で長きに渡り愛されているパンジーモチーフをはじめとした、樹脂素材のパーツを制作されている工場です。

工場内に入ると、理科室に居るような鼻をつんとする香りが漂っています。“スチレン”という材料の香りだと職人さんが教えてくれました。

薬品や樹脂の型が所せましと並ぶ光景は、まるで樹脂の研究所。

「材料って生き物なんですよ。機嫌が良い時と悪い時があって、それによって手法や道具を使い分ける必要がある。ものづくりは何度も失敗を繰り返してようやく形になるんです。色も形も100%同じものはできない。全てさじ加減で変わってくるから、一生勉強している」と職人さんは語ります。

幾度となく段取りや工程を練り直し、やっとの思いで生まれた作品達からは、一言では言い表せない温もりを感じます。
 
それではpetite robe noireのアイテムたちは一体どのようにして制作されているのでしょうか。特別にその様子を見せていただきました。

2016年の spring summer collectionから登場したお花のような樹脂の耳飾り。季節や服装を問わず着用できる人気のアイテムです。

この耳飾りは、コロンとした可愛らしい形状と立体感が特徴。平面のみでは出せない深い奥行きを表現するため、両面の型取りが行われます。

樹脂の材料はポリエステル樹脂。熱を放出する窯で焼き上げ、液体を硬化させることで型取りが完成します。

型取りが行われたできたての樹脂は、ザラつきや凹凸など表面にむらがあり少しいびつな形。ここから磨きをかけて、艶やかな質感へと変化を遂げるのです。その磨きの工程が、職人さんの知識やアイデアが沢山詰まったものでした。

それは型取りが行われた樹脂と、樹脂でできた『かけら』を水につけて洗い、その摩擦で磨くというもの。
 
「研磨石より、こっちのほうがきれいに磨けることがわかったんだ。水につけて沈むときのスピードが同じじゃないとうまく摩擦できなくて、ポリンって簡単に割れてしまう。この形はフチに特徴があるものだから、扱いを慎重にしなければ。」
 
工程をひとつ間違えるだけで不良品となってしまうものたち。何をどう使うのかを試行錯誤し、材料との対話を欠かさないと言います。

型取りから磨きの工程は、一様ではありません。

同じ工場さんが制作してくださっている、8月発売予定のブラックキューブシリーズ。 petite robe noireと親しみの深いオニキスを樹脂で再現したシリーズです。オニキスの特徴である重さを軽減し、樹脂ならではの軽い着け心地を実現しました。

オニキスの光沢や細かい傷など天然素材の風合いにより近づけるため、キューブの表面ひとつひとつを手で磨きあげています。ネックレス1本分の素材揃えるにもとても時間のかかる作業です。
 
この丹念な手仕事により、型取りだけでは出せない柔らかい質感をうみだしています。

職人さんは、ブラックキューブができるまでの過程をこう話してくれました。
 
「樹脂はどうしても透けてしまうから、オニキスのような漆黒を再現するまで何度も材料の配合を試したよ。
『いいモノ』は執着しないと生まれない。うまくいくまではひたすらやるしかないんだ。
 
機械が動いている間はずっと神経をピリピリさせて、1日中ここで過ごすことも。型ができたらあとは手の勘を頼りに磨いて、質感を表現する。僕らのものづくりは原始的な世界で動いているからね。」

作品から滲み出るあたたかみ。生まれたものを大切に想う気持ち。その全てが petite robe noire のものづくりの背景に存在します。こだわりを持って制作された素材のひとつひとつが、世界にひとつしかない個性そのものなのです。
 
作り手にしかわからない物語が形になり、みなさまのお手元に届いたとき、それぞれに命が宿ります。
 
petite robe noire のアイテムたちが、お守りのようにそっと傍に置いておきたくなるような特別な存在となりますように。

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